本研究では、ランダムウォークの量子版である量子ウォークの長時間挙動を説明するスペクトル散乱理論を構築し、弱収束定理を証明した。主な成果は以下の通りである。(1) 1次元スプリットステップ型量子ウォークの摂動に対してロバストな固有状態の存在を証明、また弱収束定理も証明した。(2) 1次元非線形量子ウォークの弱収束定理を証明した。(3) 1次元の長距離型の摂動をもつ量子ウォークのスペクトル散乱理論を展開し、特異連続スペクトルと埋蔵固有値の非存在を証明した。(4) 2次元4状態量子ウォークの固有値とレゾナンスの存在や消失を証明した。
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