研究課題/領域番号 |
18K03330
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉田 洋 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50192125)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | モンテカルロ積分 / k-対独立 / ランダム-ワイルーサンプリング |
研究実績の概要 |
ランダム-ワイル-サンプリングは(2-)対独立な確率変数列をランダム源として行うサンプリング法で,生成されるサンプル列の相加平均は大数の法則によりサンプル数の増加に伴い平均値へ収束する.この際,中心極限定理のスケーリングは平均値1点へ退化する.このことは高い確率でサンプル列の相加平均が平均値へ集中する一方,分散はi.i.d.列の場合と同じなので,サンプル列の相加平均の裾野の分布は正規分布よりずっと厚いことを意味する.言い換えるとサンプル列の相加平均が平均よりずっと離れてしまう確率が正規分布より大きい. そこで本研究では3-対独立および4-対独立の確率変数列をランダム源として用いたモンテカルロ積分法を開発し,それらによるサンプル列の相加平均の分布を詳しく調べた.被積分関数は区間[0,1]上の実数値関数として,正弦関数と31ビットパリティ関数を取り上げた.その結果,滑らかな正弦関数の場合は2-対独立,3-対独立の場合はサンプル列の相加平均は正規分布から掛け離れた様相を呈するが,4-対独立の場合は正規分布と区別がつかなかった.一方,非常に複雑な関数である31ビットパリティ関数の場合は,2-対独立,3-対独立,4-対独立,すべての場合で正規分布と区別がつかなかった. 以上の結果を含む形で論文を作成し,学術専門誌(Monte Carlo methods and Applications)に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文の形で結果をまとめることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2-対独立,3-対独立,4-対独立の確率変数列によるサンプリング方法を確立したので,それらによる困難な被積分関数のモンテカルロ積分に挑戦する.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額920円は書籍等研究に有用な物品を購入するには少額すぎるので無理に使うことはしなかった.これを翌年度分として算入する方が有効に使用できると判断した.この920円は翌年度,備品費または旅費の一部として使用する.
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