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2021 年度 実施状況報告書

モンテカルロ積分における困難事象の解決のための研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03330
研究機関大阪大学

研究代表者

杉田 洋  大阪大学, 理学研究科, 教授 (50192125)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードモンテカルロ積分 / ランダム・ワイル・サンプリング / 2階線形常微分方程式 / ランダムな摂動 / 自明解の安定化
研究実績の概要

困難なモンテカルロ積分の事例として,ランダムな摂動による2階線形常微分方程式の安定化に関する数値計算を取り上げた.
2階線形常微分方程式 X''(t)=a X(t) の自明解 X=0 は a>0 のとき不安定である.これにランダムな摂動 X(t)B'(t) (B'(t) はブラウン運動の微分,白色雑音) を加えた X''(t)=a X(t)+s X(t)B'(t) は結合パラメータ s>0 の増加に伴ってその自明解が,不安定 -> 安定 -> 不安定,の経緯を辿る.そのことを解 X(t) の分布をモンテカルロ積分することによって確認した.しかしながら,今回の確認は定性的な結論であり,定量的,すなわち安定化を実現する s の範囲の数値的な決定は大まかな閾値が求まったに過ぎない.以下に,問題点を列挙する.
(1) 任意の s の値に対して X(t) の平均はもとの常微分方程式 X''(t)=a X(t) の解と同一であり,不安定である.つまり安定化する場合でも小さい確率で解は指数的に増大する様子が見られる.そのような場合に平均ではなく最頻値を追うことで安定化を論じた.概ねその方針で正しいと思われるが理論的な根拠はまだ見つけていない.
(2) ある時間範囲における解の安定性の議論はできるが,時間無限大でのそれは解析が困難であった.時間範囲を広げていくとき安定化する s の範囲も動き,無限時間での安定化する s の範囲を確定できなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

安定化するランダムな摂動の結合パラメータの範囲をある時間範囲では数値的に求めることができた点では評価できる.しかし時間無限大における安定化については解決の目途が立っていない.数学の学術論文にするだけの知見が得られる残念である.当初の予想はいささか楽観的すぎたと反省する.

今後の研究の推進方策

(1) 引き続き,時間無限大における安定化するランダムな摂動の結合パラメータの範囲を数値計算によって求めるアルゴリズムの研究を行う.
(2) そのほか,モンテカルロ積分が困難な具体的な事例について研究する.

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染拡大防止のため,旅費等の支出がなくなったことで未使用分が発生した.本年度未使用分は(本研究終了時に)国庫に返納する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] Hiroshi SUGITA Work in Mathematics

    • URL

      http://www4.math.sci.osaka-u.ac.jp/~sugita/mathematics.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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