研究課題/領域番号 |
18K03332
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下村 哲 広島大学, 教育学研究科, 教授 (50294476)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ソボレフ関数 / 楕円型偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特にソボレフ空間とそれに付随する容量の概念は、方程式の弱解の正則性を調べ、それが強解であるかどうかを判定するのに欠かせない道具である。本研究では、実解析学だけでなく、偏微分方程式論、多様体上の微分幾何学やグラフ上の解析学、電気流動学や弾性学などへの幅広い応用を念頭に、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質をポテンシャル論的方法により研究することを目的とする。本年度は次のような研究を行った。 central Herz-Morrey-Musielak-Orlicz空間の双対性、一般化されたリースポテンシャルに対する増大性、double phase functionalsに対するソボレフの不等式、距離空間のL1に近いOrlicz空間における一般化された分数冪積分作用素の有界性、距離空間のMusielak-Orlicz Dirichletエネルギー積分に対するObstacle問題、変動指数をもつ分数冪Hardy作用素の有界性、Non-doubling測度距離空間のMorrey空間における一般化された分数冪積分作用素の有界性、非有界な擬距離空間の2つの変動指数をもつOrlicz空間における極大作用素の有界性、non-homogeneous central Herz-Morrey空間における極大作用素とリースポテンシャル作用素の弱有界性について成果を得た。 一様領域上のOrlicz空間における単調なソボレフ関数に対するリンデレーフ定理に関する成果も得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Musielak-Orlicz空間やnon-homogeneous central Herz-Morrey空間などの関数空間において、極大作用素の有界性、リースポテンシャルに対するソボレフの不等式に関する結果などを得た。一様領域上のOrlicz空間における単調なソボレフ関数に対するリンデレーフ定理に関しても成果も得た。測度距離空間上で、一般化された分数冪積分作用素の有界性や極大作用素の有界性を得ることができた。このように、本年度予定していた以上の成果を得ることができたから。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、予定していた以上の多くの成果を得ることができ、研究は着実に進展している。今後は、研究をさらに発展させるために、昨年度に得た結果の証明のアイディアをもとに、non-doubling測度距離空間上のMusielak-Orlicz-Morrey空間に関するソボレフ型定理などの研究に取り組み、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理をさらに発展させる予定である。
|