研究課題/領域番号 |
18K03338
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00325763)
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研究分担者 |
愛甲 正 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (00192831)
近藤 剛史 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60467446)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | タイヒミュラー空間 / リーマン面 / ケーラー計量 / アイゼンシュタイン級数 |
研究実績の概要 |
点付きリーマン面のタイヒミュラー空間上には、コンパクトリーマン面のタイヒミュラー空間上には定義することが出来ない別種のケーラー計量が、1990年前後TakhtajanとZografにより導入された。以後Takhtajan-Zograf計量とよぶ。代表者はこの計量の性質を明らかにしてきた。非完備であることをはじめ、コンパクトリーマン面のタイヒミュラー空間のWeil-Petersson計量の境界挙動を詳しく調べ、Wolpert氏とともに漸近展開の2次項にTakhtajan-Zograf計が現れることを発見した。最近は漸近挙動の研究をさらに押し進め、評価を改良することに成功し、論文を準備中である。 点付きリーマン面にはコンパクトリーマン面の場合にはない座標が定義できる。2つの尖点のホロサイクル間の向き付き双曲距離をPenner座標とよぶ。Weil-Petersson ケーラー形式はPenner座標を用いた大域表示公式があるが、Takhtajan-Zograf ケーラー形式にも同様な表示公式がないか、調べ続けている。その手始めとして、Penner座標のタイヒミュラー空間上の変分公式を得たが、この公式についても論文を準備中である。この公式を手がかりとしてTakhtajan-Zograf ケーラー形式が大域座標表示公式をもつかについて、今後研究を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
漸近挙動の研究を進め、改良することが出来たがこの研究はある意味でキリがなく、なかなか完成の域に到達しないため。
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今後の研究の推進方策 |
尖点をもつリーマン面はアイゼンシュタイン級数を用いて定義されるTakhtajan-Zograf計量をもつ。そのタイヒミュラー空間の境界挙動は、代表者とWeng氏、To氏により解明されてきた。今後はその漸近挙動の公式の精密化を目指す。手始めに以前の評価の改良に成功していて、その論文を発表する予定である。Pennerの座標の2回変分公式を計算したいと考えていて、Penner座標の凸性の別証明を与えたい。さらに、Takhtajan-Zograf ケーラー形式の大域座標表示公式を導きたいと考えている。また、Takhtajan-Zograf 計量は負曲率をもつと予想され、これを示すことも目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため研究出張ができず、旅費などが使用できなかったため。
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