研究課題/領域番号 |
18K03339
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
伊藤 雅彦 琉球大学, 理学部, 教授 (30348461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 楕円超幾何関数 / ワイル群 / ルート系 / BC型 / G2型 / 補間関数 / セルバーグ積分 |
研究実績の概要 |
研究代表者・伊藤は連携研究者・野海正俊(神戸大学)と5パラメータのG2型楕円超幾何積分の無限積表示ついての論文を雑誌 Advances in Mathematics から出版した。この結果は、Spiridonov-Vartanov による数理物理の超対称量子場理論における電磁双対性(予想)の特別な場合に証明を与えている。 また、伊藤は澤岻大和(琉球大学大学院生)と6パラメータのG2型 q-超幾何積分の性質を調べた。その結果、6パラメータのG2型 q-超幾何積分が満たす q-差分方程式を具体的に表示することができた。このG2型 q-超幾何積分の2つのパラメータを退化させることで、Gustafson の4パラメータのG2型 q-超幾何積分の無限積表示ついての別証明が得られる。以上の成果を、雑誌 Ryukyu Mathematical Journal から出版した。 その他、伊藤は対称 Selberg 型(An型)Jackson 積分が満たす q-差分方程式系の具体的表示を得た。これは Heine の q-超幾何関数 2φ1 が満たす隣接関係式の自然な拡張になっている。この q-差分方程式系は、階数n+1の1階連立 q-差分方程式系で表示でき、その方程式の基底としては、松尾厚(東京大学)が q-KZ方程式の研究で導入した「松尾基底」を用いた。松尾基底は、その零点の情報から、本研究で導入された「補間関数」によって特徴付けができ、補間関数が満たす3項間関係式が q-差分方程式系の具体形を証明する鍵となる。この結果は雑誌 SIGMA Symmetry Integrability Geom. Methods Appl. から出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としている例外型ルート系に付随する楕円超幾何積分およびq-超幾何積分についての結果で、G2型に関するq差分方程式が具体的に得られたこと。特にその過程に於いてG2型の「補間関数」の補間点(参照点)と成り得るべき点の集合の候補の理解が深まったこと。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き「補間関数」の楕円超幾何積分への応用に関する考察を続ける。特に例外型ルート系に付随する楕円超幾何積分について、G2型の「補間関数」を研究する。またF4型の楕円超幾何積分についても着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国武漢により発生したコロナウィルスの蔓延による影響で、当初の学会出張の予定が大幅に変更されたため。翌年度は、数式処理に必要なハイエンドパソコンの購入に使用する予定。
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