研究課題/領域番号 |
18K03360
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤田 安啓 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (10209067)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 病的函数 / Hamilton-Jacobi flow / 至る所微分不可能 / 放物線群 |
研究実績の概要 |
今年度の最も重要な成果は研究当初からの課題であった「Hamilton-Jacobi flow の挙動から初期値である連続函数の至る所微分不可能性が出るか」という問いに肯定的に答えることができ、その証明を与えることができたと思うことである。昨年度Acta Math. Hungaricaから出版した論文(投稿は2019年)で、Hamilton-Jacobi flow の挙動から初期値である連続函数のある稠密集合上での微分不可能性を示すことができたが、今年度の結果はこれを『すべて』の点で微分不可能であることまで拡張できるというものである。
しかしながら、この証明は大変複雑で難しいものである。証明が本当に正しいかのチェックをこれから私自身だけでなく共著者たちと行うことはもちろんであるが、証明が正しければ論文として読みやすくインパクトがあるかなども気を使って書かなけねばならない。結果としては非常に重要であり、本研究のまとめともいえるものであるので、焦ることなく時間をかけてチェックや書き直しをしていきたい。令和3年度(2021年度)に投稿できることが理想であるが、ここは時間をかけていきたい。
今年度はコロナ禍で研究会や学会が軒並み開催されず、この結果について研究会などで話す機会もなく広く知ってもらうこともできなっかった。これが非常に残念なことで、研究会や学会で多くの数学者に聞いてもらい、意見や感想を聞ければまた違った展開もあったと思う。次年度は、研究会や学会で話すことも課題の一つとして研究の発展を目指していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、研究当初から最も重要な課題であった「Hamilton-Jacobi flow の挙動から初期値である連続函数の至る所微分不可能性が出るか」という問いに肯定的に答えることができ、その証明を与えられたと思う。本研究の目的のひとつが、Hamilton-Jacobi flow の挙動から初期値である連続函数について何が言えるかについて答えるというものであったので、これで研究はおおむね順調に進展していると言って良いのではないかと思う。
しかしながら、その証明の細かいチェックなどはこれからである。可能ならば、共同研究者たちと一堂に会して、彼らの前で話をして、その場で意見を聞くというのが数学の研究としては理想的である。これがコロナ禍で出来なかったのが残念である。これを済ませて、次の段階に入っていれば当初の計画以上に進展していると言えたかもしれない。それができていないのが、当初の計画以上に進展しているとは言えないひとつの理由である。
また、当該年度はコロナ禍で研究会や学会が軒並み開催されず、この結果について研究会などで話す機会もなく、この結果については広く知ってもらうこともできなっかった。これも非常に残念なことで、当初の計画以上に進展しているとは言えないもう一つの理由として挙げることができる。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度に示すことができたと思われる「Hamilton-Jacobi flow の挙動から初期値である連続函数の至る所微分不可能性が出るか」という結果について、今後は証明が本当に正しいかのチェックを私自身だけでなく共著者たちと行うことが最も重要である。さらに、証明が正しければ論文として読みやすくインパクトがあるかなども気を使いながら書き上げなければならない。結果としては非常に重要であり、本研究のまとめともいえるものであるので、焦ることなく時間をかけてチェックや書き直しをしていきたい。早く出したいという希望はもちろんあるが、ここは時間をかけて完璧なものとして出版したい。
また、研究会や学会で多くの数学者に聞いてもらい、意見や感想を聞ければまた違った展開もあったと思う。次年度は、研究会や学会で話すことも課題の一つとして 研究の発展を目指していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による災害のため出張が全くできず、研究打ち合わせや研究発表ができなかったため助成金の使用予定に大幅な食い違いが生じた。このため、80万円を次年度に繰り越し、さらなる一般的な病的函数に対する Hamilton-Jacobi flow の研究のため、数値シミュレーションの実施と国内外での研究打ち合わせと研究発表のために使用する。ただし、国内外での研究打ち合わせと研究発表ははコロナの感染状況に依存する。
|