研究課題/領域番号 |
18K03368
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 孝行 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50272133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 圧縮性 Navier Stokes 方程式 / 双曲型 Navier Stokes 方程式 / Navier Stokes 方程式 / 消散項付波動方程式 |
研究実績の概要 |
本研究では, 圧縮性 Naver-Stokes 方程式, 圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式, 非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式の解の時間に関する漸近挙動を考察することで, これらの粘性流に現れる波動と拡散現象を数学的に明らかにすることが目的である. 圧縮性 Navier-Stokes 方程式では, これまでの定数平衡状態の安定性の研究において, 広い意味での Huygens の原理が成り立つことが示唆されている. 圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式は, 2相流等で相転移境界が薄い遷移ゾーンとして見なされるモデル方程式として提唱され, その初期値問題が研究されている. 非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式は, 斉次非圧縮性 Maxwell 流体の運動の記述しており, 初期値問題と半空間の初期値境界値問題の場合に, 小さい初期値に対する時間大域解の一意存在が示されている. 外部領域と摂動半空間における非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式の初期値境界値問題では,線形化方程式の解の局所エネルギー減衰評価を得ることに成功した.特に摂動半空間の場合は外部領域の場合より早く減衰することを証明した.全空間における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式では,定数平衡状態の安定性について,解の時間無限における漸近挙動の結果を得ることに成功した.特に,漸近挙動として拡散項と拡散波動項の抽出に成功した.全空間における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式では,相転移を記述するための圧力項は非単調増加関数でなければならない.したがって. 音速が零の場合を考察し,Besov空間の枠組みで定数平衡状態の安定性と解の漸近挙動の詳細な結果を得ることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧縮性 Navier-Stokes 方程式の定数平衡状態の安定性の研究では, 広い意味での Huygens の原理が成り立つことが示唆されている. 圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式は, 2相流等で相転移境界が薄い遷移ゾーンとして見なされるモデル方程式として提唱され近年研究されている. 非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式は, 斉次非圧縮性 Maxwell 流体の運動の記述として提唱されており, 初期値問題の場合に, 小さい初期値に対する時間大域解の一意存在が示されている. 外部領域と摂動半空間における非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式では,線形化方程式の解の局所エネルギー減衰評価を得ることに成功した.全空間における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式では,定数平衡状態の安定性について,解の時間無限における漸近挙動の詳細な結果を得ることに成功した.特に,漸近挙動として拡散項と拡散波動項の抽出に成功した.また,全空間における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式では,音速がゼロの場合を考察し,Besov空間の枠組みで定数平衡状態の安定性と解の漸近挙動の詳細な結果を得ることに成功した.Sobolev空間の枠組みでの考察も順調に進んでいる. また,2次元外部領域における消散項付波動方程式では, Hardy 空間と BMO 空間の duality とエネルギー法を用い, 解の時空間の L2 有界性を得る方法を, 2次元全空間の非圧縮性双曲型 Navier-Stokes 方程式, 圧縮性 Navier-Stokes 方程式,圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式の初期値問題に応用し,解の漸近形を抽出する研究も概ね順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
圧縮性 Naver-Stokes 方程式と双曲型 Navier-Stokes 方程式の解の構造において, 前者の線形近似は Stokes 方程式と線形粘性弾性体方程式であり, 後者はソレノイダルベクトル場における消散項付波動方程式である. 拡散項と波動項の相互作用が異なるため, それぞれの方程式系の解の拡散と波動現象を知るために, 解の時間無限における漸近挙動を解析する. (1) 全空間における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式は,二相流体の拡散界面モデルであり,その相転移を記述するためには圧力項は非単調増加関数でなければならない.したがって. 音速が零の場合を考察し,ソボレフ空間の枠組で考察を行う.方法としては解を低周波部分と高周波部分に分けて解析を行い,低周波部分では基本解を具体的に求め通常の圧縮性 Navier-Stokes方程式のときよりオーダーが悪くなる項を明らかにする. また,保存則系で考えることにより, 非線形評価でも正則性の仮定は有効になると考えている. 高周波部分ではエネルギー計算と高周波の性質をうまく組み合わせることで線形評価を導出し,組み合わせることで結論を導く. (2) 外部領域における圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式では,線形化方程式の解の局所エネルギー評価を導き,全空間の解の評価と合わせ cutoff テクニックを用いて線形化方程式の解の評価を導く. (3) Hardy 空間と BMO 空間の duality に関する不等式とMorawetz の方法を用いたエネルギー法を用い, 2次元全空間の双曲型 Navier-Stokes 方程式, 圧縮性 Navier-Stokes 方程式,圧縮性 Navier-Stokes-Korteweg 方程式の初期値問題に応用する.
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