研究課題/領域番号 |
18K03370
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
和田 健志 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (70294139)
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研究分担者 |
中村 誠 山形大学, 理学部, 教授 (70312634)
北 直泰 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70336056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分散型方程式 / 解の時空間評価 / 非線形シュレディンガー方程式 |
研究実績の概要 |
非線形 Schrodinger 方程式をはじめとする非線形分散型偏微分方程式の解析において,Strichartz 型評価などの時空間評価が重要な役割を果たす。時空間評価を用いることにより,非線形シュレディンガー方程式の適切性の解析はほぼ完成の域に達しているが,非線形項の滑らかさが初期データの滑らかさと比べて低い場合には初期データの属する関数空間において適切性を証明することが難しくなる。この様な場合に有効な不等式として Pecher による修正 Strichartz 型評価が知られていた。但し Pecher の評価式はスケーリングの観点からは最適でないため, 非線形項が臨界冪の場合には適用できなかった。代表者は分担者の中村誠氏と共同でとした。しかしながら以前の研究においては技術的な困難から空間次元が高い場合には適切性が証明できていなかった。今回微分可能性を時間方向,空間方向に振り分けた混合型 Besov 空間における修正 Strichartz 評価を導出することにより,未解決だった部分を肯定的に解決した。
荷電粒子の運動と電磁場の伝播の相互作用を記述する Maxwell-Schrodinger 方程式の散乱理論に関して,Liu Yang 氏と共同で Lorentz ゲージの下で散乱データの大きさに制限を付けずに修正型波動作用素の存在を証明した。Coulomb ゲージの場合には Ginibre-Velo により同様の結果が証明されていたが,Lorentz ゲージの場合は Schrodinger 方程式に対してより精度のよい解の漸近形を用いることにより対応する結果を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
修正 Strichartz 評価を用いた非線形の適切性の証明は,初期データが小さい場合には今回の結果によりほぼ完全に解決されたと考えられるため。また,本研究課題においては連立系の研究も重要なテーマであるが,Maxwell-Schrodinger 方程式の散乱理論において新たな進展が見られたため。
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今後の研究の推進方策 |
分担者との連絡を一層密にして研究を継続するとともに,海外も含め同様の問題に興味を持つ研究者とも連携して研究に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画に従って執行した結果,若干の残額が生じていたが,次年度の予定額が少なめであることも考慮し次年度に使用した方が研究遂行上有意義と判断したため。2019年度の研究において使用する。
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