研究実績の概要 |
最終年度に実施した研究成果は、これまでの研究実績の総括とその成果をまとめた論文の執筆と投稿、そして学会での研究成果報告である。 期間延長した最終年度を含む研究期間の後半は、主に半離散キルヒホフ方程式の初期値問題の時間大域可解性について研究を行ってきた。なお半離散キルヒホフ方程式とは、非局所的な非線形性を持つキルヒホフ型非線形波動方程式を空間変数に関して離散化したモデルであり、その時間大域可解性に関する研究実績はこれまで全く報告されていない。本研究は、期間前半に行ってきた線形の変数係数半離散波動方程式に関する研究実績と、本課題以前の研究代表者の研究テーマである(離散化されていない通常の)キルヒホフ方程式の大域可解性に関する研究実績を組み合わせたものであり、最終的に得らえた成果は、独自性、新規性ともに高い結果である。また、現時点で本研究成果は半離散モデルに限定されるものの、将来的に未解決の大問題であるキルヒホフ方程式の大域可解性の問題への応用が期待されるものである。さらに、本研究において線形モデルには無い半離散キルヒホフ方程式特有の現象が起こり得ることが示唆されており、当該分野での新たな問題の提供と今後の研究発展が期待される。 上述の研究成果をまとめた論文は現在専門雑誌に投稿中である(査読者のマイナーリビジョンに対応した修正原稿を再投稿中)。また、本研究助成を受け出席した国際会議(14th International ISAAC Congress, University of Sao Paulo (Brazil), July 17-21, 2023)において、当該分野の専門家に対して成果報告を行った。
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