研究課題/領域番号 |
18K03378
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
竹村 剛一 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10326069)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | qホイン方程式 / ホインの微分方程式 / アクセサリーパラメーター / q超幾何関数 / 変異版q超幾何方程式 |
研究実績の概要 |
ホインの微分方程式はアクセサリーパラメーターをもつ微分方程式の典型例であり、qホイン方程式はこれのq差分化として知られている。qを1とする極限において、qホイン方程式からホインの微分方程式が復元される。 qホイン方程式はHahnにより1971年の論文で導入されたがしばらくは注目されず、2017年に出版された論文「Degenerations of Ruijsenaars-van Diejen operator and q-Painleve equations」において報告者によって再発見された。この論文ではqホイン方程式が2通りの方法で導出されたが、その1つはRuijsenaars-van Diejen 作用素から4回の退化によって導出するものである。 今年度は、中央大学大学院博士前期課程を修了した小嶋氏と佐藤氏との共同研究とそれを引き継いだ研究において、研究成果が学術雑誌に掲載された。論文「Polynomial solutions of q-Heun equation and ultradiscrete limit」において、qホイン方程式の多項式解について、既に知られているホインの微分方程式の多項式解の理論と同様の手法が有効であることを示した。さらに、その解のより詳しい挙動について、qを0に極限をとるという超離散極限を用いて解析した。 また、中央大学大学院の波多野氏、松縄氏、佐藤氏と共著で「Variants of q-hypergeometric equation」という題の論文原稿を作成し、日本数学会2019年度秋季総合分科会にて研究発表を行った。この研究ではq差分超幾何関数のみたすq差分超幾何方程式に関連するものとして、qホイン方程式の視点から変異版q差分超幾何方程式を発見した。そして、その方程式の具体的な解をいくつか構成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
qホイン方程式の多項式解の解析や変異版q超幾何方程式の発見など、当初は想定していなかった成果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
アクセサリーパラメーターをもつ微分方程式や差分方程式の解について、さらに研究を推進する。 qホイン方程式の特殊化として得られる変異版q超幾何方程式について、特異点の合流に対応する事柄などについても調べていく。 また、研究対象を広げてqパンルヴェ方程式などを考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延に関係して参加予定の研究集会が中止となったことなどにより、次年度使用額が生じた。 研究の実施環境が変化したことに対応して、科研費を使用していきたい。
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