研究課題
超幾何関数は特殊関数の重要な例であり、数学や物理のさまざまな場面で現れるものである。超幾何微分方程式は超幾何関数を解とする微分方程式であり、3点に確定特異点をもつということで特徴付けがされている。これを4点確定特異点としたものがホインの微分方程式であり、アクセサリーパラメーターをもつ微分方程式である。これのq差分化としてqホイン方程式が知られている。また、超幾何微分方程式のq差分化としてq超幾何方程式が古くから知られており、最近ではこれの変異版の研究もなされている。今年度は、お茶の水女子大学の大学院生である新井由美氏と共同研究を行い、qミドルコンボルーションの収束性および変異版q超幾何方程式について研究成果を得ることができた。qミドルコンボルーションは坂井氏・山口氏(2017 IMRN)により導入されており、q変形された積分であるジャクソン積分との関係も調べられていた。新井氏と報告者により、qミドルコンボルーションに付随するジャクソン積分に対して1パラメーター拡張を行った上で収束性に関する議論も含めて再定式化を行った。そして、この再定式化されたqミドルコンボルーションを用いることで、変異版q超幾何方程式のいくつかの解を導出することができた。また、中央大学大学院博士前期課程を修了した佐々木氏、高木氏との共同研究により得られたqパンルヴェ方程式の初期値空間とqホイン方程式およびその変異版に関する論文およびqミドルコンボルーションとqパンルヴェ方程式に関係する論文について投稿し、改訂を経て採択された。他に2本の論文が採択された。研究期間全体を通じて、とくにqホイン方程式や変異版q超幾何方程式について研究が当初の想定を超えて進展した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
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