研究課題/領域番号 |
18K03379
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
太田 雅人 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (00291394)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非線形シュレディンガー方程式 / 孤立波 / 安定性 |
研究実績の概要 |
研究の目的は、非線形シュレディンガー方程式や非線形クライン・ゴルドン方程式など非線形分散波動方程式の孤立波解に関連した研究を推進することである。孤立波解のまわりの局所的な問題である軌道安定性だけでなく、不安定な孤立波解と爆発解の位相的関係についての研究、特に、孤立波解の強い意味での不安定性に関する研究に重点をおいている。ここで、孤立波解のどんな近くにも有限時間で爆発する解が存在するとき、その孤立波解は強い意味で不安定であるという。 今年度はまず、空間1次元のデルタ関数ポテンシャルをスケール則の観点から一般化し、空間多次元において、クーロン・ポテンシャルを特別な場合として含む逆冪乗型ポテンシャルを伴う非線形シュレディンガー方程式を考察した。逆羃乗型ポテンシャルを伴う非線形シュレディンガー方程式の定在波解の強い意味での不安定性について、深谷法良氏と共同研究を行い、エネルギーの観点から自然な条件のもとで定在波解の強い意味での不安定性を証明した。これは空間1次元のデルタ関数ポテンシャルを伴う非線形シュレディンガー方程式に対する山口崇博氏と研究代表者による以前の結果を拡張したものになっている。 さらに、非線形項がともに引力的な質量劣臨界羃と優臨界羃の和で与えられる二重羃型非線形シュレディンガー方程式に対しても同様の問題を考察し、深谷法良氏と共同研究により、エネルギーの観点から自然な条件のもとで定在波解の強い意味での不安定性を証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形シュレディンガー方程式の定在波解の強い意味での不安定性に関して、調和ポテンシャルを持つ場合に対する以前の結果を拡張し、逆羃乗型ポテンシャルを持つ場合や二重羃型非線形項を持つ場合に対しても同様の結果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
調和ポテンシャルやクーロン・ポテンシャルを特別な場合として含むより一般的なポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式に対して、定在波解の強い意味での不安定性が成り立つかどうかを検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の研究者を招聘する計画があったが、先方との日程調整がつかず、実現しなかったため。 次年度に改めて日程調整を行い、その研究者を招聘する計画である。
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