研究課題/領域番号 |
18K03380
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
伊藤 弘道 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 准教授 (30400790)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Boussinesq問題 / 粘弾性体 / 非貫通条件 / 摩擦 / き裂 / 断層破壊 |
研究実績の概要 |
動的破壊問題の数学解析と地震学への応用をテーマとして、令和元年度には主に以下の研究活動を行った。 地震の進行過程がもつ特有な性質(スケール不変性や摩擦によるエネルギー散逸など)を盛り込んだ数理モデルについて、とくにき裂面(断層面)に非貫通条件と摩擦条件を課した問題の数学解析を行った。その結果、線形粘弾性体における剛体円錐圧子の押込み問題の数学解析の結果をまとめ、V.A.Kovtunenko氏(University of Graz)とK.R.Rajagopal氏(Texas A&M University)との共著論文として国際専門雑誌に投稿し受理された。本研究の特徴は、構成方程式が線形であるが歪みが応力で表されており(不可逆)、さらに非線形境界条件を課した点にあり、本問題では従来用いられた対応原理が適用できない点にある。また剛体円錐圧子の半径を0としたBoussinesq問題についても考察した。 地震学への応用については、平野史朗氏(立命館大学)との共同研究により、均質媒質中のmode-III平面亀裂に自己相似な等速破壊伝播を仮定した問題を考察し、滑り速度の厳密解を導出した。さらに数値的に滑り速度最大値・滑り量・エネルギー解放率を求め、破壊伝播速度が決定されるメカニズムや、地震学的可観測量からエネルギー解放率を推定する手法を検討した。今後は、研究成果をまとめ、さらに地震時の断層破壊を想定した動的破壊問題やき裂上に摩擦条件と非貫通条件を課した初期値境界値問題の解析への展開を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度にはこれまで考察してきた動的摩擦問題の問題点を整理し、地震学への応用を考察し、研究を進展させた。線形粘弾性体モデルにおけるBoussinesq問題についての成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も概ね当初の研究計画通りに進めていく予定である。特に摩擦と非貫通条件を考慮した動的なき裂問題について研究を進展させていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表および研究打ち合わせのため出張を計画していたが、コロナの問題で延期となったため。研究計画は当初の予定通りすすめる。
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