研究課題/領域番号 |
18K03388
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐久間 雅 山形大学, 理学部, 准教授 (60323458)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | tutte polynomial / gold grabbing game / convex geometry / weighted safe set |
研究実績の概要 |
1)グラフやマトロイド構造を特徴付ける組合せ多項式であるtutte polynomialは、数理科学の様々な分野に広く応用を持つ極めて重要な数え上げ多項式である。筆者は、琉球大学の三枝崎剛氏、東北大学の篠原英裕氏、金沢大学の大浦学氏と共に、マトロイドの完全不変量となる形にこの多項式を一般化した。その成果の一部が、A generalization of the Tutte polynomials,Proceedings of the Japan Academy, Ser. A Mathematical Sciences,95(10) 111-113,2019年11月に掲載された。なお、本研究に関する主要な成果は、本年度以降に比較的長編の論文に纏める予定である。2)筆者は、慶応大学の松本直己氏、湘南工科大学の中上川友樹氏と共に、いわゆるgold grabbing gameの凸幾何(convex geometry)への一般化を行い、特に平面上の凸幾何の上の当該ゲームについて、必勝手の分析を行った。当該成果は、Convex grabbing game of the point set on the plane,Graphs and Combinatorics,36(1) 51-62,2020年01月に掲載された。3)safe setは、著者が横浜市立大学の藤田慎也氏およびカナダのビクトリア大学のGary MacGillivray氏と共に発表した2016年のDiscrete Applied Mathematics誌に発表した、新しいグラフ不変量である。当該概念は、ネットワーク上の多数決問題や施設配置問題など数多くの組合せ最適化問題に対する多くの応用を持つことが明らかとなり、研究人口が急激に増加している。2019年度、著者は、横浜市立大学の藤田慎也氏、韓国Ajou UniversityのBoram Park氏と共に、頂点重みを持つグラフの上の不変量であるweighted safe setについての研究を行った。当該成果の一部は、Stable structure on safe set problems in vertex-weighted graphs,European Journal of Combinatorics,accepted ,2020年に掲載が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度も、数多くの研究成果を得ており、その一部は3本の国際論文誌に掲載されているか掲載が決定していることがその理由である。1)A generalization of the Tutte polynomials,Proceedings of the Japan Academy, Ser. A Mathematical Sciences,95(10) 111-113,2019年11月, 2)Convex grabbing game of the point set on the plane,Graphs and Combinatorics,36(1) 51-62,2020年01月, 3)Stable structure on safe set problems in vertex-weighted graphs,European Journal of Combinatorics,accepted ,2020年 加えて、更に現在投稿中、および準備中の成果も数多くある。筆者の山形大学の研究室の学部学生諸君と行った共同研究の一部が、「サイクルの2乗グラフ上の単純乱歩における期待到達時間の解析」として、2019年度応用数学合同研究集会において発表されたことも、予想外の成果であった。本研究成果についても、近い将来、国際雑誌に投稿する予定である。こうした数々の研究成果が得られたことにより、研究計画は大きく進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究計画に記載した方針の通りに、当該研究課題における様々な研究問題に取り組む。本年と同じように、豊かな成果を得られるように努める所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に複数の研究集会及び国際会議などに参加する予定であったが、昨年12月頃よりにわかに危ぶまれる状況になりつつあった新型コロナウイルス感染状況が国内外において深刻さの度合いを深め、とうとう一切の外出もままならない状況に追い込まれた。そのため、複数の共同研究者と共に出席を予定していた数多くの国内研究集会および国際会議をキャンセルし、加えて、共同研究者との研究打合せもすべてキャンセルした。これらの研究集会、国際会議、および、研究打合せについては、感染が治まって完全な渡航が出来るようになってから、折を見て順次再開していきたい。
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