研究課題/領域番号 |
18K03388
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐久間 雅 山形大学, 理学部, 教授 (60323458)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | safe set / connected safe set / FPTAS / Tutte Polynomial / lattice / pebble motion problem / グラフの自己同型群 / 石交換群 |
研究実績の概要 |
本年度は、SCImagoにおけるMathematics部門Discrete Mathematics and Combinatorics分野などでQ1に位置するEuropean Journal of Combinatoricsに1編、COREランキングAのトップ国際会議であるWGに1編等、併せて3編の論文が掲載されるなど、多くの成果を得た。1)[Stable structure on safe set problems in vertex-weighted graphs,European Journal of Combinatorics,91,(2021年01月出版)]では、任意の頂点重み分布の下で、安全数と連結安全数が常に一致するような2部グラフの族を完全に決定し、[Networks,71(1) 81-92, 2018]の未解決問題の一つを解決した。2)[Stable Structure on Safe Set Problems in Vertex-weighted Graphs II -- Recognition and Complexity -- Lecture Notes in Computer Science,12301 364-375,(2020年10月出版)]において、木の上の重みつき最小連結安全集合問題についてのFPTASを与えることで[Networks,71(1) 81-92, 2018]の未解決問題の一つを完全解決し、また、EhardとRautenbachによる予想[Discrete Applied Mathematics, 281:216-223, 2020]を否定的に解決した。更に、1)で特徴づけたグラフ上での最小連結安全集合問題に対するFPTASも与えた。3)[Tutte polynomial, complete invariant, and theta series,Graphs and Combinatorics,(2020年10月出版)]では、タット多項式の一般化として、グラフの完全多項式不変量となる一変数多項式を与えた他、同型でないがそのtheta seriesが一致する格子の組を、マトロイド及びタット多項式を用いて構成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、SCImagoにおけるMathematics部門Discrete Mathematics and Combinatorics分野、Geometry and Topology分野、Theoretical Computer Science分野でいずれもQ1に位置するEuropean Journal of Combinatoricsに1編、COREランキングAのトップ国際会議であるWGに1編等、併せて3編の論文が掲載されるなど、多くの重要な成果を得たのが、その理由である。筆者が2014年にShinya Fujita氏およびGary MacGillivray氏と共に提案した安全数や連結安全数といった新しいグラフ不変量は、ネットワークのマジョリティ概念を規定する、重要なグラフ不変量であることが、私が他の共著者と共に書いた2018年の論文[Networks,71(1) 81-92, 2018]で明らかにされた。この2018年の論文は、2016年7月から2018年6月迄のトップダウンロード数20位以内にランクインするなど、世界的に注目されている。本年度はこの論文[Networks,71(1) 81-92, 2018]の未解決問題を2つを解決し、EhardとRautenbachによる予想[Discrete Applied Mathematics, 281:216-223, 2020]を否定的に解決するなど、特筆すべき成果が多い。
|
今後の研究の推進方策 |
今後共、1)ブロッキング型整数多面体、2)安全数、3)タット多項式の一般化、4)pebble motion problem、など、多くの重要な問題について考察し、成果を上げる。1)については、現在執筆中の論文を本年度中に投稿することを目標とする。2)については、研究すべき多くの理論的問題があり、また現実のネットワークにおける問題への応用も視野に、さらなる研究を進める。3)についても、現在執筆中の論文を本年度中に投稿することを目標とする。4)についても、様々な未解決問題に対して一つ一つ成果を積み重ねていく所存である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、共同研究打合せをしたくても、県外への移動が禁じられるなど、自由な往来ができない状況にある。多くの研究集会も取りやめになり、私が組織している複数の研究集会も開店休業の状況にある。2021年10月以降にワクチン接種が国民の大半に行き渡った後に、堰を切ったようにこの種の集会や打合せが再開されるものと思う。その時には、通常の数倍から十倍以上の数の対面打合せや研究集会が催されるはずで、そこに残る資金の全てを使用したい。
|