今後の研究の推進方策 |
1)まず第一に,『現在までの進捗状況』に述べた,高次多変数多項式対の剰余列と余因子の計算法の効率化を早急に達成する。実はこの計算は,従来の算法そのもので実行すると余因子計算が重いのだが,余因子に関しては与多項式の各係数部(の全次数)に関して下から一定の次数区間だけ計算すればよく,さらにP1=G,P2=G,...,Pi-1,Pi から剰余 Pi+1 を生成する算式 Pi+1 := (αi Pi-1 - Qi Pi)/βi でまず剰余列を計算したあと,(αi, Qi, βi) を使えば余因子が非常に効率良く計算できる。問題はプログラムが複雑なだけである。 2)次には,剰余列の途中段階の剰余の組から,辞書式順序のグレブナー基底の要素に近い多項式を生成することだが,本研究で提案した剰余列の四角化は,異るルートで変数を消去するのみならず,いくつかの変数を消去したあとに(同じ主変数と次数を持つ)同類多項式を生成するので,それらの主係数の組から変数を消去すれば,目的が達成される。理論的にはかなり出来上がっており,あとは効率化とプログラミングであると思っている。こうして,剰余列とGCD演算による辞書式グレブナー基底計算の効率化をなんとしても達成したい。
|