平面に長さnのサイクルを配置し,その内部を三角形になるように,辺を加えて細分する.得られた平面グラフは頂点数nの極大平面グラフである.頂点数nのどの極大平面グラフも,対角変形と呼ばれる局所変形操作を,O(n)回繰り返すことで移り合うことが知られている.この組合せ論の結果を幾何学な設定で考えると(つまり,各辺が直線分であると仮定すると),平面上の幾何学的n角形は,直線分のみを加えることで,その内部を三角形のみに分割でき,どの2つのそのような分割も対角変形で移り合うことが知られている.ところがその変形回数は0(n^2)回となり,組合せ的設定と幾何学的設定において,その現象に大きく差が生じることが知られている. 本研究では,上述の問題を四角形分割に置き換えたら何が起こるかを考察することを目標とする.ところが,平面に奇数角形の閉路を配置すると,組合せ的にも四角形分割できないことが直ちにわかる.また,ある幾何学的な偶角形を考えると,幾何学的に四角形分割できないような状況に陥ることがわかる. まず,幾何学的四角形分割ができるような幾何学的偶角形が満たすべき十分条件を,螺旋度(spirality)という量を導入することで与えた.また,偶角形の内部に内部に,シュタイナー点と呼ばれる補助的な点を導入することを許して同様の問題を考えたとき,螺旋度とシュタイナー点にどのような関係があるかを考察した.
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