研究課題/領域番号 |
18K03391
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小関 健太 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (10649122)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Hamiltonian cycle / Coloring |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,閉曲面上のグラフについて,ハミルトン閉路を利用した新しい彩色の手法を提案することである.この目的達成ため,2020年度は特に,ハミルトン閉路についての研究を行っている. 「4-連結線グラフがハミルトン閉路を持つ」という Thommasen予想は,この分野で大きな未解決問題であり多くの研究がなされている.この予想では,グラフの線グラフを対象としているが,「Thomassen's conjecture for line graphs of 3-hypergraphs」では対象をハイパーグラフの線グラフにまで拡張しており,限られた条件下では対象を拡大にしたにも関わらず問題の難しさが変わらないことを示している. また,ハミルトン閉路の存在性を議論する際に,hypohamiltonian と呼ばれる「どの1頂点を取り除いてもハミルトン閉路を持つ」という性質を持つ,極限的なグラフを考察することがある.これを,葉の数を制限した全域木について拡張した場合の結果を「On minimum leaf spanning trees and a criticality notion,」で示している. 一方で,彩色に類似した性質としてグラフの辺の向き付けについての結果も 「Orientations of graphs avoiding given lists on out-degrees」という論文で公開した.これは,彩色におけるリスト彩色というバリエーションを向き付けに導入したもので,彩色との関係からの議論を行った.例えば,平面グラフについての彩色の手法を適切に変更することで,平面グラフにおける向き付けが可能となることが,この論文の結果の系として示せる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は COVID-19 の影響で,研究打合せや学会発表といった活動が大きく遅れている.特に,遠方の研究者との詳細な打合せができなかったことが大きな影響があった. その中でもオンラインを中止とした打合せを行うなど新しい研究体制を構築し,一定の成果を残している.特に,ハイパーグラフの線グラフにおけるハミルトン閉路に関しての新しい知見が得られたこと,および向き付けという新しい研究分野を開拓できたことが大きな進展であった.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に得られたハミルトン閉路に関しての知見をもとに,2021年度には曲面上のグラフの彩色へと適用させる予定である.特に,得られたハミルトン閉路のトポロジー的な性質を考察することで彩色に結びつけたい. また,新しく開拓した向き付けに対しても,トポロジー的性質を持つハミルトン閉路が利用できるかどうかの考察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の流行により,研究打ち合わせや学会発表が不可能であったため. 出張が可能となり次第,研究訪問や招へいを行う予定である.
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