研究課題/領域番号 |
18K03393
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
依岡 輝幸 静岡大学, 理学部, 准教授 (60432192)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公理的集合論 / 強制法理論 |
研究実績の概要 |
部分的な強制拡大で閉じているという公理を総称して強制法公理と呼ぶ.代表的な強制法公理であるMartin's Axiom MA はShelah-Baumgartnerが導入したProper Forcing Axiom PFAよりも真に弱いことが示されている.Barmgartner は「どの$\aleph_1$-稠密な実数の集合も順序同型である」(以下これを BA と書く)ことが無矛盾であることを示し,TodorcevicはBAがPFAから導けることを示した.Abraham-Shelahは「MA が成り立ち,BAが成り立たないことが無矛盾である」ことを示した.こうして,BAはPFA から導けて,MA から導けない代表的な数学的命題となった.
Aspero-Motaはfinitely-properという半順序の性質を導き,「finitely-properな半順序に関する強制法公理fPFAと連続体濃度が$\aleph_2$より大きいことは無矛盾である」ことを示した.PFA → fPFA → MA が成り立つことから,fPFAはMA より真に強く連続体濃度が大きいことと無矛盾な強制法公理であることが示されている.この研究では,「fPFAが成り立ち,BAが成り立たない」ことが無矛盾であることを示すことで, Abraham-Shelahの上記の定理を拡張した.証明の要点は,Abraham-Shelah が導入した 2-entangledness を拡張した 2-bi-entangledness を導入したこと,Aspero-Mota による反復強制法を改良したことである.この結果は研究集会で発表し,論文を投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度の目標は,Aspero-Mota iteration をより適用範囲を広げるような改良を開発することであった.この目標を達成させ,さらにその改良を用いて,上記のように, Abraham-Shelah の無矛盾結果を拡張した新たな無矛盾結果を得たことから,概ね順調に進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次の目標は,Aspero-Motaの反復強制法,およびNeemanの反復強制法を応用することで,$\aleph_1$上の組合せ論のさらなる進展に寄与することである.特に,一様化できない ladder system coloring が持つ性質を精密に調べることで,一様化できない ladder system coloring が存在することと無矛盾な「まともな」強制法公理を見つけ,それと連続体濃度との関連追求する.
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