研究実績の概要 |
本年度は次の三つの研究を行った。 1, Lethbridge大学のHadi Kharaghani氏との共同研究において、アダマール行列に対してbalancedly splittableと呼ばれる性質を定義し、そのようなアダマール行列の構成・存在性・性質を調べた。そのようなアダアール行列から、強正則グラフの構成や適切なラテン方陣を用いることでさまざまアソシエーションスキームの構成が挙げられる。また特別な例は、等角直線族や不偏なアダマール行列といった対象とのつながりも明らかになった。この結果は、国際雑誌Discrete Mathematicsにて出版された。 2, 釜山国立大学のAlexander Gavrilyukと Ljubljana大学のJanos Vidaliとの共同研究において、ハミングアソシエーションスキームH(n,6)の堅い4-デザインの非存在性を証明した。この結果は、1979年の野田隆三郎氏の結果において、存在性・非存在性が決定されていなかったケースについてである。Delsarte理論に由来するロイド型の定理を用いる手法では進展が得られていなかったケースを、ここ10年程の間に確立された球面上のコヒアラント配置の議論とアソシエーションスキームの三重交差数を巧みに用いることで非存在の結果を得るに至った。この結果は国際雑誌に投稿中である。 3, 釜山国立大学のAlexander Gavrilyukとの共同研究において、有向グラフの位数に関して、エルミート隣接行列の固有値の重複度に関する研究が進展中であり、現在論文を執筆中である。
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