最終年度には主に以下の3つの研究成果を得た. (1) Rado 予想に似た反映原理として,σ-Baire 木の反映原理が Zhang によって定式化されている.この反映原理は基数算術などに対して Rado 予想とほぼ同じ帰結を持つ.本研究ではこの反映原理の高濃度バージョンが基数算術に及ぼす影響について調査し,2のアレフ0乗やアレフ1乗に上限を与えないことを証明した. (2) Jensen によって近年定式化された強制法公理である Subcomplete Forcing Axiom (SCFA) やSubproper Forcing Axiom (SubPFA) について,それらのある種の制限がなす階層と,それぞれの制限が高濃度の定常性反映原理に及ぼす影響について,ウィーン大学の Corey Switzer 研究員とともに調査した.これにより,SCFA や SubPFA を基数κより上に制限したものは,κ以下の基数に対する反映原理をほとんど導かないことを明らかにした. (3) ミュンスター大学大学院性の安田泰智氏とともに,Neeman 崩壊によって巨大基数をアレフ2に崩壊したモデルで,どのような反映原理が成り立つかを調査した.Levy 崩壊によって超コンパクト基数をアレフ2に崩壊したモデルでは,定常性反映原理や Rado 予想が成り立つことがよく知られているが,Neeman 崩壊をしたモデルでは,これらの反映原理が成り立たないことを明らかにした.さらに,Neeman 崩壊したモデルでは,定常性反映原理を弱めたものは成り立つことや,この反映原理からアレフ1乗の非定常イデアルのプレシピタス性が帰結されることを明らかにした.
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