研究実績の概要 |
Pκλ上のイデアルの構造的性質の基本となる3概念、 P-ポイント、Q-ポイント、セレクティブイデアルを定義し、正規性、剛性等の観点から考察を行ってきた。κ上のイデアルの構造的性質は(BTW)Baumgartner-Taylor-Wagon (1982) により、ほとんど余すところなく調べられているのに対し、Pκλ上のイデアルについては、全く未解明と言ってよい状態である主な原因は、(κ,<) は整列集合であるが、(Pκλ,⊂)は整列集合ではないことである。この理論の建設が期待されていることは、Handbook of Set Theory (2010) でも言及されている。代表者も1990年代に試みて挫折を味わった者の一人である。 基本的指針は、BTW と同じ結果を証明することであるが、恒常集合(stationary set) 等で、κと Pκλでは異なる事象がいくつか知られている。 (弱)正規イデアルや飽和イデアル等、いくつかの場合では、Sup-function (x に sup(x)を対応させる関数) が1対1であるという条件を加えれば、κ上と同じことが成り立つことがわかった。一方、κ上の Q-ポイントは非定常イデアル(nonstationary ideal)を含むということで特徴づけられるが、Pκλ上の非定常イデアルは Q-ポイントではない可能性が高い。κ上では、セレクティブであることと、P-ポイントかつ Q-ポイントであることが同値であるが、Pκλにはセレクティブでも、Q-ポイントではないイデアルが存在するかもしれない。理論の基盤の3概念の妥当性は広く認められているようであるが、それらの関係についても謎が残ってしまった。 また、3概念の局所的なヴァージョン(local P-ポイント、weak selectivity 等)と強制法については、今後の課題である。
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