本研究課題は,異なる時間スケールをもつ複数のプロセスの関係により現れる生物個体群ダイナミクスの特性を理論的に議論するための数理モデルの構造について検討し,従来の数理モデルによる理論に新しい見方を提示することを目的とするものである。現代,感染症の伝染ダイナミクスの時間スケールと感染症蔓延状況についての情報伝搬の時間スケールは後者の方が短い,すなわち,後者の過程の方が速いと考えることができる。基礎的な数理モデルのこれまでの解析により,そのような情報伝搬による社会応答が感染症蔓延における衰退と再興の繰り返し現象の機序として重要な役割を果たしている可能性が示唆される結果が得られた。
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