研究課題/領域番号 |
18K03408
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水藤 寛 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (10302530)
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研究分担者 |
珠玖 隆行 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (70625053)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統計モデル / 数値シミュレーション / 局地気象 / 環境動態 / データ同化 |
研究実績の概要 |
本研究では、5つのサブテーマ (A)3次元詳細数値シミュレーションコードの高度化、 (B)森林に対する多孔性媒質モデルの導入と均質化法の適用、(C)統計モデルによる、各観測ステーションの相関の解析、(D)データ同化による観測データのパラメータへの反映、(E)モデル中の各種物理定数に対する機械学習を用いた高精度推定、を設定して研究を進めている。 研究代表者水藤は、2019年度の成果を発展させてサブテーマ(A)と(E)を主に進めた。サブテーマ(A)については前年度に引き続いてプログラム改善を実施した。サブテーマ(E)において実施するパラメータ推定についても、実装作業を進めた。 研究分担者珠玖は、サブテーマ(C)について主に研究を進め、2020年度はこれまで提案してきた風向・風速を予測するための統計モデルに関して、その予測精度に関する定量的な評価を行った。その成果をまとめ、Meteorology and Atmospheric Physics(Springer)に投稿した。また、これまで提案してきた統計モデルは異なる観測ステーションから得られるデータの相関性を考慮していなかった。より合理的なモデリングのため、データ間の相関をGraphical Lassoによりモデル化することを試みた。Graphical Lassoのコード開発と精度検証は実施しており、次年度は風向・風速モデルへ応用することを予定している。 本研究の研究協力者であるフィンランド国立環境研究所のJuntunen博士研究員、Ropponen研究員とは必要に応じて電子会議を行い、議論を続けている。フィンランド国立環境研究所では、本研究の成果を湖の動態シミュレーションに利用することを最終目標としており、本研究の終了年度に向けて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画での研究終了年度であった2020年度は、新型コロナ感染症の急拡大のため、学会等への参加や本研究計画の重要な部分であるフィンランド国立環境研究所との共同研究推進に困難があった。年度後半には、電子会議によって研究者間の意思疎通を図る手段も一般化し、ある程度は進められるようにはなったものの、当初の計画通りというわけには行かなかった。そのため、進捗状況を「やや遅れている」とした。計画目標を達成するために、研究期間延長の制度を利用し、2021年度まで研究計画を延長することとした。なお、本研究計画のここまでの成果をまとめ、国際共著論文としてMeteorology and Atmospheric Physics(Springer)に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2021年度は、5つのサブテーマそれぞれについてまとめると共に、それらを統合した形の数理モデルを構築する作業を行う。(B)の内容についてさらに追加する必要があるためにその部分を補い、これまでのサブテーマ(A)(C)の成果に(B)(D)(E)を統合することで、本研究の目標達成につなげる。共同研究先であるフィンランド国立環境研究所の研究者とは、電子会議を活用した連携をさらに充実させると共に、国際的な往来の状況が改善すれば顔を合わせての打ち合わせも再開することで、最終年度の研究を効率的に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度には成果発表のための国内出張、及び海外の研究協力者との研究打ち合わせのための海外出張を予定していたが、新型コロナウィルス感染症拡大のため、出張することができなくなった。これらの費用分を次年度に繰り越し、出張が可能となった時期に実行する計画である。
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