研究実績の概要 |
本研究課題の核心は, 『ダイバージェンスそれ自体で指数の最適解を与えることが出来ない場合, どのような指数の調整項を追加すれば最適解を得ることが出来るのか, またその一般化の定式化はどうなるのか』であり, 本研究課題の目的は, Renyi ダイバージェンスを基にして指数の調整項を付与した最適な一般化拡張ダイバージェンスの多層融合化した定式化とその議員定数問題への適用, となる. この核心と目的に対して, モデル選択基準族に対する頑健な一般化によりAIC を一般化した criteria のダイバージェンス族を導出し, 多項式回帰モデルにおいて, この族が漸近的にAIC と同等であることを示し, 更に外れ値があっても十分なパフォーマンスが出ることを示すことが出来た結果を受けて、外れ値のあるデータを多項式回帰モデルで分析する時のロバストな情報量規準に関して, BIC に対応する一致性と BHHJ に対応する頑健性を同時に併せ持つ新しい情報量規準として, 影響関数を基盤に持つ RCC を提案することが出来た。また多値割り付けに対応する因果効果の推定法において, 交絡変数の「バランス性」を考慮に入れた covariate balancing に基づいて, 共変量の推定をすることなく不偏性と一致性を持つ因果効果の推定法を2つ提案することが出来た。 応用的な研究結果としては、厚生労働省のオープンデータを利用して、 PCR 陽性者数と感染死亡者数の関係を Granger 因果性に関して検討し、令和 2 年 6 月 18 日付けの厚生労働省による感染死亡者の定義の変更による構造の変化を確認したが、残念ながら議員定数問題への適用までには至らなかった。 指数型分布族における十分統計量の誤用に関する指摘が行えたのは、意外な成果であり、今後研究を深めたいものとなった。
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