研究実績の概要 |
2018年度は主に以下の研究実績を挙げた: (1) 直交群の有限部分群の作用で不変なcubature公式の特徴付け定理として知られるS.L. Sobolev (1962) の定理を一般の関数空間について拡張した.これを用いて,二つの斉次多項式空間の直和空間上のタイトなcubature公式を発見した.この直和空間に対する再生核を具体的に求め,一般化Fisher不等式(数学,Vol.68, pp.24-53, 2016)の等号成立条件を用いることで,上述の直和空間に対するタイトな公式の点配置の幾何的特徴付けも与えた. (2) 古典的な実験計画法のクラスであるプラケット・バーマン計画, 中心複合化計画, ボックス・ベーンケン計画,ボックス・ハンター計画等を,cubature公式論の枠組みで読み換えることで,rotatable designとしてのmaximum order(背後にある多項式回帰モデルのorder,多項式の最大次数)を決定した.また,D型ワイル群不変でrotatableなD最適計画の構成法を提案し,order 2, 3, 4の計画を具体的に量産することに成功した. (3) 古典直交多項式系に付随する,一変数積分に対する有理点,有理ウェイトのcubature公式で,特にFisher型不等式に関してtightに近い公式の非存在命題をいくつか得た. (1)の結果は執筆中の専門書にとりこみ,(2)の一連の成果は現在平尾将剛氏(愛県大)との共著論文にまとめている.(3)は内田幸寛氏(首都大)との共著論文にまとめ,投稿済みである.
|