複素2次元のエノン写像についての共同研究により,エノン写像に付随する非線型2階差分方程式; x(t+1) - λx(t) - b x(t-1) = -a {x(t)}^2 をBorel-Laplace変換の方法を使うととなく、大変シンプルな考え方により同様の結果を導き出すことが出来ることが分かった.この結果についての論文が現在査読の第階にある。これは、不動点が鞍馬型の場合についてであるが、不動点が放物型の場合も同様のアイデアで差分方程式の解の構成が可能であるとい結論に現在至っており、その結果発表を準備中である。この研究成果は世界的に20年ほど前から滞っていた研究にブレイクスルーを与えるものと思われる。低次元に留まらず,高次元システムや微分方程式への本研究の応用の可能性が大変高まったことを意味する.具体的には、研究成果「Some convergence properties of linearizing functions at hyperbolic fixed points for quadratic maps」を、九州大学での冬の力学系研究集会で口頭発表した.また、共同研究とは別に、以前からの継続でFatou予想の多項式写像の場合に,すなわち Smale の第11問題の考察をし、得られた成果「複素多項式族の正則運動近傍における多重周期分岐」を京都大学数理解析研究所の研究集会で口頭発表した.現在,次の予想についての研究が最終段階に入っていており論文の作成中である;予想(Fatou-Smale) 複素平面上の任意の多項式写像は同じ次数の双曲型多項式写像により近似できる.この研究のアイデアは,Mane-Sad-Sullivanによる正則運動holomorphic motion)の概念に基づいている。
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