複雑系における異なるレベル間の関係の在り方に対する内在的観点からの研究を、ネットワーク上のダイナミクスと情報流、および内側から開いたネットワークについて行った。前者では、遺伝子調節ネットワークなどの数理モデルであるブーリアンネットワーク上の局所情報流の最適化からある種の臨界的なダイナミクスが選択されることを数理的に明らかにした。後者では、ネットワークの頂点をプロセスとみなすことを圏論的に定式化して内側から開いたネットワークを定義した。これから導出される側方経路概念を用いて頂点の入力あるいは出力としての重要度の指標を提案し、生物ネットワーク解析への応用を行った。
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