研究課題/領域番号 |
18K03424
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石渡 恵美子 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 教授 (30287958)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 数理モデル / 時間遅れ / 数値解析 / 差分方程式 |
研究実績の概要 |
今年度は,生物の被捕食を表す離散型数理モデルと可積分系で取り上げられてきた箱玉系との関連性を,時間遅れをもつ場合にまで拡張しようと試みた。予想よりも面白いつながりを見出し,従来と導出過程が異なる箱玉系や固有値計算との関連性を共同研究として発見した。本件に関するアイデアの一部は国内の研究会における報告書が既に掲載されているが,英論文の作成を進めており,次年度に投稿する予定である。これは色々な方面での応用が期待できるので,次年度は異なる分野の方程式への適用可能性も模索し,成果が得られれば学会等で発表する予定である。 一方で,病理に関する数理モデルの定性的な研究として,女性に比較的多い病気に関するモデルについて,若手の先生からアドバイスを受けていた。学生に数値実験や解析を手伝ってもらいながら調べて,少し成果が得られたので,共同で学会発表するに至った。また,前研究課題から継続している感染症モデルの性質解明に関連して,基本的な感染症数理モデルにランダムな動きを表す空間への感染の拡がりを考慮した問題について,偏微分方程式の専門家とともに解析を進めてきた。これに関する投稿中の英論文は年度末に査読者の指摘により修正に至っている。 次年度は今まで適用したことのない分野にも時間遅れを考慮することを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は当初より,過去の研究課題の遂行の遅れが少し影響していたが,今年に入ってから,予定していた共著者との打合せや研究集会が新型コロナウィルスの影響のため,すべて取りやめた。これにより,論文作成や発表計画などが滞ったことも影響している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はオンラインでの研究打合せなどに切り替え,今年度に見出した成果の論文作成と投稿作業を優先し,アイデアの応用範囲の拡張などを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今夏は他の研究課題(分担者)の成果発表の機会が予想外に増え,重なった時期に本件の作業を少し控えたことがあった。加えて,年度末の学会の開催時期に新型コロナウィルスの影響があり,予定していた遠方での研究打合せや学会参加・発表をすべて取りやめた。これにより,費用を大きく繰り越している。次年度も影響の大きさは計り知れず,アイデアの応用や投稿予定の論文を確実な成果として出すことを優先するが,夏季に出張が可能になった折はできるだけ動けるように費用は計上する。
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