研究課題
本研究は,次の4つのテーマからなる.[テーマ 1] 多変量分布論で必要となる群作用で不変な多項式,特殊関数の統一化. [テーマ 2] 非特異行列変量の分布論から特異な場合への展開.[テーマ 3] 多変量正規母集団からの頑健性を目指した発展.[テーマ 4] 量子化への展開.これらのテーマ1から4は,各々が独立しているものではなく,連携し共通部分も多くある.テーマ2で当初計画として挙げていた「スティーフェル多様体上の積分で不変な多項式の存在証明」について,テーマ1,4とも合わせて存在証明に成功した.これらの証明ができたことにより,特異ウィシャート行列の固有値の正確分布論が,非特異と同様に完成した.さらに,実際のデータ解析への応用として,多変量分散分析で必要となるRoy型の検定統計量の正確分布の導出を行なった.この統計量の既存の研究では,非特異ケースになるようにサンプルサイズと群の数に制限がかかるが,非特異での分布が導出できたことにより,その制限をはずすことができる.現在,テーマ2をベースとしたテーマ1,4の研究に関する2本の論文も2021年早々に採択され,2021年5月時点では公開されている.テーマ3については,本年度に特異な場合かつ楕円母集団での発展研究を行い,その成果をアーカイブとして公開し,海外学術雑誌へも投稿中である.テーマ4についてもベータウィシャート行列の漸近論を確立し,現在,論文としてまとめているところである.したがって,全てのテーマで計画どおりに研究成果を上げて,本課題を終了することができた.
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Journal of Multivariate Analysis
巻: 183 ページ: 104714~104714
10.1016/j.jmva.2020.104714
Random Matrices: Theory and Applications
巻: 10 ページ: 2250005~2250005
10.1142/S2010326322500058
https://www.tus.ac.jp/academics/teacher/p/inde3.php?1f6e#pills-t3-tab4