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2018 年度 実施状況報告書

ボラティリティ推定に関する新提案について

研究課題

研究課題/領域番号 18K03431
研究機関東京都市大学

研究代表者

金川 秀也  東京都市大学, 共通教育部, 教授 (50185899)

研究分担者 前園 宜彦  九州大学, 数理学研究院, 教授 (30173701)
税所 康正  広島大学, 工学研究科, 准教授 (70195973)
細野 泰彦  東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (40157029) [辞退]
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードVolatility / Jump Diffusion / Historical Volatility / Poisson Process / Black-Scholes Model / Goodness of Fit Test
研究実績の概要

株価などの収益率分析において、ボラティリティの推定は最重要な問題である。特に、ボラティリティが時間の経過とともにランダムに変動する場合はその推定は容易でない。本研究では株価が複合ポアソン過程によって構成されたジャンプ拡散過程によって数理モデル化されることに注目した。株価日次収益率をボラティリティによって基準化すると、ボラティリティが正確に予測出来た場合のみ単位時間当たりの基準化された収益率のジャンプ回数がポアソン分布に従うという仮説立て、これを利用してボラティリティの推定精度を検証することが本研究の第一の目的である。

平成30年度には、30年間以上に渡る日経225平均株価やダウ平均株価などの株価指数の日次収益率データを本研究で提案した手法によって分析し、ランダムに変動するボラティリティの推定の分析精度について分析した。その結果、日経225平均株価、ダウ平均株価共に、ほぼ同様に20日から30日程度の期間の株価データを用いたヒストリカル・ボラティリティが良い精度で真のボラティリティの推定に用いることが出来ると言う結論を得た。一方、個々の企業の株価分析では、企業ごとのボラティリティの変動にばらつきが大きく、ヒストリカル・ボラティリティを求めるための株価データ数に大きな差が生じていることが判明した。これらの結果は現在、論文に纏めている最中であり、次年度には発表出来ると考えている。

また、株価モデリングおいて超凖解析の手法が有効であることがわかり、この結果を平成30年度に応用数学に関する雑誌である「Applied Mathematics」に投稿し、掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

長期間に及ぶ日経225平均株価やダウ平均株価などの株価指数の日次収益率データを分析した結果、両者ともほぼ同様に20日から30日程度の期間の株価データを用いたヒストリカル・ボラティリティが良い精度で真のボラティリティの推定が出来ると言う結論を得た。一方、個々の企業の株価分析では、ヒストリカル・ボラティリティを求めるための株価データ数に大きな差が生じていることがわかった。

ジャンプ拡散過程による株価モデリングでは、そのジャンプ部分である複合ポアソン過程の派生要因はブラック・ショールズモデルのような連続過程がブラウン運動とランダムなボラティリティによって決まる単純な現象によって生じることと異なり、何らかの社会的、経済学的な要因が考えられる。このような、複合ポアソン過程によるこのような変動が連続過程のボラティリティに影響して大きなボラティリティを生じるという仮説を検証するという本研究の第二の目的はまだ手付かずの状況にある。

今後の研究の推進方策

ジャンプ拡散過程による株価モデリングにおけるジャンプ部分が、何らかの社会的、経済学的な要因によるものと考えられる。また、複合ポアソン過程によるこのような変動が連続過程のボラティリティに影響して大きなボラティリティを生じるという仮説を検証する。

さらにリアライズド・ボラティリティとよばれる、秒単位や分単位のような短期間に観測された多数のデータを用いてボラティリティを推定する手法について考察し、本研究手法を応用することで、リアライズド・ボラティリティの推定精度をあげる手法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者が平成31年3月に東京都市大学の定年を迎え、研究室の整理や業務の引き継ぎなどによって平成31年1月以降は研究連絡などが十分にできなかったためである。4月以降については、平成30年度に比較して大学での研究以外の業務が大幅に減り、次年度使用額と合わせて十分な研究活動が出来ると期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] 国立台湾大学(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立台湾大学
  • [雑誌論文] Extended Wiener Measure by Nonstandard Analysis for Financial Time series2018

    • 著者名/発表者名
      S. Kanagawa, R. Nishiyama and K. Tchizawa
    • 雑誌名

      Applied Mathematics

      巻: 9 ページ: 975~984

    • 査読あり
  • [学会発表] ジャンプ拡散過程による時系列解析とその応用2018

    • 著者名/発表者名
      金川秀也
    • 学会等名
      バイオメディカル・ファジィ・システム学会
  • [学会発表] Estimation of Volatility of Share Prices of Stock Index Using a Jump Diffusion Model2018

    • 著者名/発表者名
      Shuya Kanagawa
    • 学会等名
      The 12th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Identification of Large Jumps in Daily Share Prices of Stock Index Using a Jump Diffusion Model2018

    • 著者名/発表者名
      Shuya Kanagawa
    • 学会等名
      The 12th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] ファイナンスを読みとく数学2019

    • 著者名/発表者名
      金川秀也、高橋弘、西郷達彦、謝南瑞
    • 総ページ数
      153
    • 出版者
      培風館
    • ISBN
      978-4563010263

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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