研究課題
可積分系の研究において見出された離散数理構造を積極的に用いて複雑な波動現象解明のための革新的な計算手法を開発することを目標として研究を行なった。具体的には、(1) 離散可積分系研究で見出された手法を基盤とした高精度で高速な構造保存型差分スキームの開発およびその数理的性質の研究、(2) 2次元波動パターンのある時刻における情報からそのパターンを生成する厳密解を構成し波動パターンの時間発展を予測する計算アルゴリズムの開発に取り組んだ。(1)においては離散可積分系の手法とともに離散微分幾何学の手法を積極的に用いて、申請者らが提案した自己適合移動格子スキームの研究、開発を中心に行なった。解構造を保ち空間と時間を共に離散化することによって得られる全離散自己適合移動格子スキームの構築と一般的な境界条件化での自己適合移動格子スキームの実装がこの研究課題の大きな課題であったが、最終年度にこれらの課題を解決することができた。また、自己適合移動格子スキームの研究を進めていく上で発案した感染症の数理モデルの解構造を保存する離散化に関する研究成果を論文にまとめ学術誌に投稿した。また、ソリトン方程式の可積分性を保つ遅延化についての研究を進め、研究成果を論文にまとめて国際査読論文誌に出版した。(2)においては、可積分系理論を基盤としてコード図、ネットワーク図、三角形分割などの組み合わせ論や計算幾何学の手法を積極的に用いて2次元非線形波動方程式の分類問題に取り組んだ。特に、Davey-Stewartson方程式のソリトンが作るパターンの分類手法の開発についてのこれまでの研究成果を論文にまとめ、国際査読論文誌に出版した。また,水波の数理モデルである長波-短波共鳴相互作用方程式についての研究を進め,研究成果を論文にまとめ,国際査読論文誌に出版した.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Physica D: Nonlinear Phenomena
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