量子多体系のシミュレーションに現れる難問である負符号問題を解消する試みとして,経路積分におけるレフシッツシンブル法が素粒子物理学の分野で発展している.これを物性物理学の中心的話題の一つである量子スピン液体の問題に適用し,負符号問題の軽減の実際を明らかにした.さらに,種々の磁性体の理論模型に対しても,量子モンテカルロ法,厳密対角化法,平均場理論,鞍点法などから最適な方法を選定し,可能な限り近似を排した数値計算を実装した.そして,カイラルスピン液体,マグノンのエフィモフ効果,分数磁化,磁気ヘッジホッグ格子,カイラル反強磁性体の電気磁気効果といった諸問題に対する新たな知見を得ることに成功した.
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