ボース・アインシュタイン凝縮体はマクロな量子系で相互作用項を平均場近似で扱うとマクロな波動関数がGross-Pitaevskii方程式と呼ばれる偏微分方程式にしたがうことが知られている。さまざまな実験状況に対応してGross-Pitaevskii方程式が拡張され、適用される。本研究課題の成果としては 1. 実効的に正と負の質量を持つソリトンが形成される場合の2つのソリトンの運動を数値計算と近似理論で解析した。相互作用が引力でも負の質量のソリトンは離れるように加速される。その結果、正の質量のソリトンは追いかけ、負の質量のソリトンは逃げるような運動をする。負の質量の大きさが小さい場合は逃げきれるが、大きい場合は追いつかれる。ちょうど質量の大きさが等しい時は2つのソリトンは等距離を保ち無限に加速されるという単純であるが通常見られない振る舞いを示すことが分かった。 2. 非局所的な反発相互作用をするGross-Pitaevskii方程式にソリトン格子が形成されることを示した。ソリトンの形を近似的に求めることにも成功した。非局所性のために反発相互作用であるが離れた位置で実効的には引力的にはたらくために局在化が起こることもわかった。 3. 正と負の電荷をもつボース・アインシュタイン凝縮体に対応するGross-Pitaevskii方程式を研究し、電荷密度波が形成されたり、ダイポール型や四重極型のソリトンが形成されることを数値計算で示した。 4. 斥力相互作用と線形結合を持つ2成分Gross-Pitevskii方程式における対称性の破れを数値計算により研究した。また。中心で振幅がベキ的に発散するソリトン解がある種のGross-Pitaevskii方程式に存在することを示した。
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