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2022 年度 実施状況報告書

孤立量子系における操作的な非平衡統計力学の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K03467
研究機関成蹊大学

研究代表者

門内 隆明  成蹊大学, 理工学部, 講師 (30514476)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード非平衡統計力学 / エントロピー生成
研究実績の概要

近年、カレント揺らぎのprecisionとエントロピー生成の平均値の間に熱力学的不確定性関係が成り立つことが、多くの非平衡系において報告されている。一方で、反例も幾つか知られている。そこで熱力学的不確定性関係をエントロピー生成の揺らぎの対称性である揺らぎの定理から導出することは、重要な課題と考えられる。これまで先行研究では平衡近傍や短時間領域において熱力学的不確定性関係を再現する不等式が示されてきた。
これに対し、本研究では、有限時間において熱力学的不確定性関係が厳密に成立するための必要十分条件を揺らぎの定理から一般的に導出した。また、多変数に拡張した熱力学的不確定性関係が成立するための一般的な必要十分条件も揺らぎの定理の観点から導出し、変数が一つの場合と異なる条件であることも示した。更に、短時間領域において熱力学的不確定性関係の等号が成立すること、その結果として平均と分散の時間依存性が一致するメカニズムを明らかにした。また、幾つかのモデルを用いて、数値的検証を行った。これらの結果は、エントロピー生成やカレントの揺らぎに関する熱力学的不確定性関係の適用範囲を統一的な観点から扱い、かつ古典系・量子系のどちらでも成立するため一般的であると考えられる。また、揺らぎの定理から熱力学的不確定性関係を導出出来るか、という問題に一つの解決を与えている。
この成果は論文として投稿中である。また、国際会議においても発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

熱力学的不確定性関係が成立する必要十分条件を揺らぎの定理から調べることで、単一のカレントだけでなく多変数の場合や一般の物理量の場合も明らかに出来た。
従って、当初の予定より進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

幾つかの国際会議について現地にて口頭発表し、進める予定である。
また得られた知見は、適宜論文として公刊する予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加を検討していた国際会議が中止またはオンライン開催になったため。
2023年度に現地開催の国際会議に参加し発表予定である。

備考

arXiv:2201.01896

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 量子スピン鎖におけるクエンチ後の熱平衡化と緩和時間2022

    • 著者名/発表者名
      大淵倫太郎, 加納慶一, 門内隆明
    • 学会等名
      日本物理学会2022年秋季大会
  • [学会発表] 量子スピン鎖における多体局在とクエンチ後の緩和時間2022

    • 著者名/発表者名
      加納慶一, 大淵倫太郎, 門内隆明
    • 学会等名
      日本物理学会2022年秋季大会

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公開日: 2023-12-25  

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