研究課題/領域番号 |
18K03498
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
吉田 晴彦 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90264837)
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研究分担者 |
森 英喜 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (50364039)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シリコン系太陽電池 / シリコンナノワイヤ / 表面反射率 / キャリアライフタイム / パッシベーション / 界面特性 |
研究実績の概要 |
本課題では、シリコンナノワイヤ表面にパッシベーション膜を成膜し、パッシベーション膜の被覆性と安定性、更に、パッシベーション膜/シリコンナノワイ ヤの界面特性に関する詳細な知見を得ることにより、シリコンナノワイヤのポテンシャルを最大限に生かしキャリアの再結合(損失)を極力抑える技術を開発することが目的である。 R元年度は主に(1)H30年度に検討したパッシベーション膜/シリコンナノワイヤ構造に対して、キャリアの再結合が抑制される条件を明らかにすること、(2)パッシベーション膜/シリコンナノワイヤの界面特性や絶縁特性についてC-V法やI-V法を用いて詳細に検討すること、(3)より低コストの太陽電池を開発の目的にパッシベーション膜の成膜条件についてH30年度の検討をさらに推進すること、を目的として研究を推進した。 (1)の検討ではキャリアの再結合を抑制する目的でより短いナノワイヤの成長条件を検討し、作製したサンプルに対して光の反射率及びキャリアライフタイムを評価した。その結果、反射率はナノワイヤ長の増加に伴い低減し、ナノワイヤ長0.6ミクロン以上では約3%で収束していることがわかった。キャリアライフタイムに関しては反射率が約3%で収束している中で最も短い0.6ミクロンのサンプルでフラットなSi表面のサンプルの対して28%の減少に抑制できた。(前年度の実績は49%) (2)の検討では通常困難であるパッシベーション膜/シリコンナノワイヤ構造のC-V評価を行い、評価の可能性は見出したが、詳細な検討は今後の課題である。 (3)の検討では前年度のミストCVD法によるGaOx膜に加えて、ゾルゲル法によるTiOx膜の検討を開始し、TiOx膜の特徴であるキャリア選択性と成膜条件についての知見を得たが、より詳細な検討を次年度実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R元年度の実施計画では、(1)H30年度に検討したパッシベーション膜/シリコンナノワイヤ構造に対して、パッシベーション膜/シリコンナノワイヤの界面特性について検討し、キャリアの再結合が抑制される条件を明らかにすること、(2)より低コストの太陽電池を開発するために、従来太陽電池に 用いられている成膜方法よりも大量生産が可能なLIAスパッタ法や非真空プロセスで成膜可能なミストCVD法を用いて成膜したパッシベーション膜や有機薄膜についてもH30年度の検討をさらに推進することを予定していた。 キャリアの再結合が抑制される条件については、より短いナノワイヤの検討により前年度の低反射率を維持し、前年度よりもキャリアライフタイムの減少を抑制できた。 また、通常困難であるパッシベーション膜/シリコンナノワイヤ構造のC-V評価を行い、十分ではないが評価の可能性は見出すことができた。 (2)の検討では前年度のミストCVD法によるGaOx膜に加えて、ゾルゲル法によるTiOx膜の検討を開始し、TiOx膜の特徴であるキャリア選択性と成膜条件についての知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
R2年度には、(1)前年度までに検討したパッシベーション膜に対して、パッシベーション膜/シリコンナノワイヤの界面特性と作製条件の関係を明らかにするため、前年度までの検討をさらに推進する。パッシベーション膜/シリコンナノワイヤ界面の電気特性評価には、C-V法やI-V法を用いて界面特性や絶縁特性について詳細に検討する。同時に、より最適なパッシベーション膜の探索も実施する予定である。 (2)前年度までに検討したパッシベーション膜に対して、さらに太陽電池モジュールの作製プロセス中に受ける熱履歴に対してその熱安定性も検討し最終的に最適なパッシベーション膜/シリコンナノワイヤの組み合わせ及び作製条件を見い出し、変換高率の高いシリコンナノワイヤ太陽電池の実現を目指す。
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