研究課題
強相関化合物の新奇超伝導等の発現機構を解明するためには、異方的な強相関3d, 4f軌道の対称性が重要な役割を担う。しかしながら、一般的なマクロ測定から特定サイトの局所軌道における結晶場基底状態の対称性を決定することは困難を伴う。我々は内殻硬X線光電子分光(HAXPES)の直線偏光依存性(LD)、及び光電子放 出角度依存性の測定により、主に希土類化合物の結晶場4f基底状態の起動対称性エネルギーを精密に決定する新手法の開発に成功し、量子臨界物質の微細電子構造を解明するべく研究を推進した。本研究課題では、HAXPES-LDに加え、X線吸収分光(XAS-LD)、および帯磁率測定を組み合わせることにより、量子臨界点近傍に位置する正方晶Ce化合物の基底状態を精密に決定することを目的としている。まず正方晶Ce化合物CeCu2Ge2のΓ7基底状態の精密決定手法の確立し、さらにCeAgSb2のΓ6基底状態の決定にも成功した。以上の結果は正方晶Ce化合物の全ての基底状態を精密に決定可能であることを示しており、論文として報告した。以上の結果に加え、立方晶Pr化合物の基底状態の決定にも成功した。さらに、量子臨界現象を示すYb化合物YbAlB4の軌道対称性の解明に加え、内殻共鳴条件におけるHAXPES測定から、量子臨界現象の発現機構に重要な役割を示す伝導電子とf電子のクーロン相互作用についての知見も得た。さらにSmOS4SB12の特異な磁性と電子状態について、X線吸収磁気円二色性により明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)
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