本研究では、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いてFeSe単結晶を加圧し、OrthoⅡ相の出現を起源とする超伝導の消失を観測し、逆に薄い単結晶試料を用いれば静水圧性が改善され消失しないことを示した。FeSeとその関連系の圧力相図は研究対象として大変魅力的であるが、おそらくはこの超伝導消失の問題があるため、これまでに5 GPa以上の高圧域における圧力下物性の研究はほとんどなされてこなかった。本研究で発見されたFeSeの高圧下超伝導の観測を可能にする測定条件は、このような状況を打開するために極めて重要な知見であると言える。今後のFeSe関連系の圧力相図の解明が急加速することを期待している。
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