α-Mnは単体金属であるが,高圧物性がほとんど明らかになっていない。本研究では純良単結晶の作成に成功し,その高圧物性を明らかにした。Mnは他の高温相を含め,反強磁性体として知られており,わずか1.4 GPaの圧力で弱い強磁性を示すことは驚きであった。異常ホール効果の起源については近年理解が進み,電子が感じるベリー位相と関係があることが提案されてきたが,α-Mnで発見された秩序構造の変化により現れる異常ホール効果はこれを直接的に示しており,学術的意義は大きい。ホール効果は応用にも重要であり,社会的意義も大きいと言える。期待された超伝導は観測されなかったが、その理由も明らかになった。
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