研究課題/領域番号 |
18K03528
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松浦 徹 福井工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (60534758)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電荷密度波 / MEMS / 機械振動 / フォトリソグラフィ |
研究実績の概要 |
本年度は機械振動子測定系の改良、レーザープロジェクターを用いたフォトリソグラフィ露光系の改良を行った。フォトリソグラフィは、フォトレジストを前年と異なるポジ型フォトレジストを入手し、プロセス実験を行った。また、光源として、MEMS制御式のレーザープロジェクターを用いた。その結果、露光したパターンに忠実な現像パターンを得られた。金蒸着後、リフトオフにより金膜のパターンが得られた。細線の幅は3μmほどまで縮小できた。これにより、電荷密度波物質などの微細化した結晶を用いて、微小デバイスやMEMS構造を作る基礎が確立した。 また、結晶成長させた電荷密度波物質の結晶を機械振動子デバイスとして用いるために、マクロな大きさ(mmオーダー)の試作デバイスを作成し、振動測定の構築を行った。前年の直流測定系を改良し、ロックインアンプLI5655を導入して、機械振動による電流変化を信号として取り出す測定系を構築した。直流電流を試料(電荷密度波物質TaS3)に流しつつ、二点支持で浮いた状態にした試料とゲート電力との間に交流電圧を印加することで、クーロン力により機械振動を誘起する。周波数変調された交流電圧を印加すると、機械振動と混合し、変調波の周波数に対応する混合信号が得られる。この信号をロックインアンプLI5655を用いて精密に測定した。測定は試料の電荷密度波TaS3の転移温度220K以下で行った。80K及び100Kでの測定では、機械振動に対応する信号は得られなかった。測定理論を見直したところ、この方法では試料‐ゲート間距離が数100ナノメートル程度の微細構造にしないと測定可能な信号が得られないことが分かった。これを実現するためには、フォトリソグラフィによる微細加工を行い、数マイクロメートルサイズのMEMS構造が必要である。 と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定系は当初予定していたものがほぼ完成したが、それでも有意な信号が得られなかった。並行して行っているフォトリソグラフィ装置の調整が完了しておらず、MEMS構造の作製に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
年度末までにわずかに残額が残ってしまった。コロナウィルスにより学会がなくなったことと、共同研究者との打ち合わせのための出張がなくなったためである。次年度に繰り越し、早期に使う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
MEMS試料の精密抵抗測定を行うため、フォトリソグラフィ設備のさらなる調整を行う測定系の改良を行う。作成した機械振動子がどの程度振動しているかを確認するため、電気的検出とは別に、機械振動の光学測定を行いたい。その実験を共同研究者とともに行う予定である。
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