本研究では,2本足梯子構造を持つ銅酸化物ACu2O3の電子物性に関する研究を行なった.高圧合成法を用いて,MgをLiで置換したMg1-xLixCu2O3を作製する手法を確立し,Liの固溶限界をx = 0.12からx = 0.60まで大幅に拡大することに成功した.Li置換によってホールをドープすると,電子比熱の有限な寄与が現れるにも関わらず,電気抵抗率の温度依存性は絶縁体的であるという特異な振る舞いが現れることを見出した.これは,原子サイトの化学的な乱れによるものであり,Cu2O3梯子面内に非磁性イオンが導入され,ドープされたホールキャリアが局在化することに起因するものであることを突き止めた.
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