Ag1-xSn1+xSe2においてディラック電子実現の可能性と、バレンススキップ超伝導におけるバンド構造への興味から単結晶合成と物性測定を行った。超伝導転移温度の異なる二つの組成で単結晶を合成した。価数が2+, 4+と異なれば、Sn-Seの結合長が2種類あることが強く期待されたため、広域X線吸収微細構造 (EXAFS)、核磁気共鳴(NMR)を行ったが、どちらもSnの単一価数を強く示唆する結果であった。第一原理計算においても結合長の変化が見られなかったことから、異なる価数のSnは空間的に局在して分布しているのではなく、一様な金属的な電子状態内に重なって存在している可能性を強く示唆した。
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