研究課題/領域番号 |
18K03554
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
眞山 博幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70360948)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 濡れ現象 / ピン止め効果 / 曲面の数学 / 汚れた表面 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究成果はいくつかあるが、その中でも動的濡れ現象のエネルギー障壁の大きさを評価することに成功した。具体的には以下のようなものである。我々のこれまでの研究から、霧粒(直径10~100ミクロン)や霧雨(100~500ミクロン)の水滴は付着するが、雨粒(500ミクロン以上)を弾く性質を持つシロアリの翅の濡れの性質について実験と理論の両面から研究を行ってきた。このシロアリの翅の表面には、長い毛(長さ100ミクロン、根本の直径10ミクロン)と短い毛(長さと10ミクロン、根本の直径10ミクロン)が間隔20ミクロン程度で生えており、物理的欠陥がある表面ともいえる。その中で、直径100~200ミクロンの霧雨の付着する・跳ね返る挙動が確率分布となることを見出した。その確率分布を衝突時の水滴の運動エネルギーと半導体のバンドギャップに相当する活性化エネルギーを考慮したボルツマン分布で評価し、実験結果を説明することに成功した。これまで濡れ現象は1次相転移であることが示唆されてきたが、濡れた状態と濡れない状態の安定な2状態の間に活性化エネルギーに相当するエネルギー障壁が存在することが明らかとなった(論文は執筆中である)。したがって、物理的ピン止めや化学的ピン止め効果のある表面で動的濡れ現象を理解する場合でも同様に濡れのエネルギー障壁の大きさを考える必要があることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度後半から国内学会および国際学会が対面形式とオンライン参加を併用したハイブリッド開催となった。しかしながら、医科大学の教員であるため、大学の業務に支障がないよう、オンライン参加をしたが、情報収集や情報交換の面で大きな支障となった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は新型コロナウィルスが5月8日から5類に移行した。引き続き感染対策をしながら、国内出張や国内学会に(対面)参加し、情報収集・情報国間を進め、研究を進展させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度までは新型コロナウィルスの感染が沈静化しなかったため、国内外の学会参加ができなかった。次年度は新型コロナウィルスが5類に移行するため、国内外の学会参加に予算を使用する予定である。
|