両親媒性分子と水で形成されるリオトロピック液晶は、両親媒性分子一分子の占める平均体積内で親水部分断面積が疎水部分断面積に比べて大きい1型と、その反対の2型に分類される。私のグループでは、すでに2型の共連続キュービック相の構造を単結晶領域を用いたX線結晶構造解析により明らかにしてきた。そして、2型では疎水領域の中心に位置する三重周期極小曲面に、極性-非極性界面が平行であることを示した。同じことが、1型共連続キュービック相でも成立するかを確かめるために、研究を行った。 前年度から引き続き、非イオン界面活性剤のヘキサエチレングリコールドデシルエーテルの共連続キュービック相の単結晶構造解析を行い、極性-非極性界面が平行となることを明らかにした。非イオン界面活性剤の親水部分は鎖状になっており、その部分におけるエントロピー由来の伸びエネルギーを大きくするために、平行界面になっていると考えられた。そしてこの研究に関する論文を査読のある雑誌に掲載した。 ほかの非イオン界面活性剤の共連続キュービック相についても、単結晶領域を得て、解析を行った。この場合も、極性-非極性界面は三重周期極小曲面に平行と見なせた。 本研究を通して、リオトロピック液晶共連続キュービック相の構造解析を実現し、極性-非極性界面は三重周期極小曲面に平行と見なせることを明らかにした。この研究により今後のより深い共連続キュービック相の研究につながると考えている。
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