研究課題
令和2年度には、化学反応によって駆動されるマイクロマシンの状態遷移を説明するためのモデルを提案した。化学反応の進行度を表す反応座標およびマイクロマシンの状態を記述する状態変数を導入した。全自由エネルギーは、化学反応を表現する傾いた周期ポテンシャルと反応座標と状態変数のカップリングエネルギーの和で与えられる。このとき、傾いた周期ポテンシャルは化学反応の駆動力と活性化エネルギーの2つのパラメーターで特徴づけられる。また、マイクロマシンが触媒として機能することから、反応の前後で状態が変化しないため、周期的な構造を持つカップリングエネルギーを導入した。また、反応座標は「平均第一到達時間」と「平均第一遷移時間」という2つの時間スケールによって特徴づけられる、決定論的なステップ増加関数で表されると仮定した。この仮定を用いることで状態変数の時間発展を計算した。さらに、マイクロマシンの機能性を定量化するために「状態サイクロン」と呼ばれる物理量を導入し、化学反応パラメーターに対する依存性を議論した。その結果、状態サイクロンは平均第一遷移時間の二乗で表現されることがわかった。さらに、二つの時間スケールを具体的に計算することで、状態サイクロンは活性化エネルギーの二乗に反比例することがわかった。また、令和2年度には、粘弾性流体中の相反マイクロスイマーについても検討した。具体的には、相反変形するマイクロスイマーモデルを三つ提案し、粘弾性流体中の遊泳速度を計 算した。モデル(i)では相反変形する三つ玉スイマーのアーム振幅に非対称性を導入した。モデル(ii)では、三つ玉スイマーのアーム周波数に非対称性を導入した。モデル(iii)では玉の大きさが異なる非対称二つ玉スイマーを考えた。全てのモデルで遊泳速度が複素粘性率の虚部に比例し、相反スイマーは媒質の弾性成分を利用して遊泳していることがわかった。
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