研究課題/領域番号 |
18K03573
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研究機関 | 科学教育総合研究所株式会社(研究・開発部) |
研究代表者 |
小田垣 孝 科学教育総合研究所株式会社(研究・開発部), その他部局等, 主任研究員 (90214147)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非平衡系 / エイジング / 自由エネルギーランドスケープ理論 / 待ち時間 / 瞬時減衰定数 / COVID-19 / SIQRモデル |
研究実績の概要 |
・自由エネルギーランドスケープ理論に基づいた非平衡系におけるエイジングの研究を進め、瞬時減衰定数の待ち時間依存性からエイジングが2種類に分類できることを示すとともに、自由エネルギーランドスケープの緩和によるエイジングにより、中間散乱関数の複雑なエイジングが説明できることを示した。 ・本研究で用いた数学的手法を用いて、COVID-19に対するSIQRモデルを提出した。蔓延を収束させるにはPCR検査に基づく隔離が重要であること、行動制限と緩和を繰り返すことにより波状の感染曲線が生じること、日ごと陽性者数の経時変化の簡単な解析法を考案し、感染状況が9種類に分類できることおよび感染を収束させている国のPCR検査数が圧倒的に多いことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
7月開催予定の国際会議が延期され、また3月のアメリカ物理学会がオンライン開催となったため、旅費が執行できなかったが、「エイジングの待ち時間依存性」および「Adam-Gibbs 仮説の理論的根拠の証明」に関する論文を書き、現在推敲中であり、投稿がやや遅れている。また、自由エネルギーランドスケープ上の代表点の運動を解析する方法を確立するために、これまでの研究を精査し、さらに1次元ランダムウォークモデルに対するエイジングおよびその待ち時間依存性の詳しい解析に成功した。一方、科学者全員に課せられた緊急の課題であるCOVID-19の研究に対して、本研究の数学的手法を発展させたCOVID-19のSIQRモデルを提案し、検査による隔離が重要であることを示し、周期的感染曲線の特徴を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
「エイジングの待ち時間依存性」の論文を仕上げて、投稿する。また、Adam-Gibbs 仮説の理論的基礎付けに関する論文を引き続き推敲し、投稿する。自由エネルギーランドスケープ上の代表点の運動の繰り込み群による解析を、具体的に行い、論文にまとめる。また、これまでの研究で明らかになってきた、ガラス転移に関わる比熱の総合的研究、アミロイドーシスへの応用を視野に入れた調査を継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年7月にプラハで開催予定であったLMC2020が2021年度に延期され、また2021年3月に開催されたアメリカ物理学会がオンラインとなり、さらに国内においても学会、研究会がオンライン開催となったために、旅費が執行できなかった。一方、本研究を発展させた研究論文の投稿料を支払った。2020年度に投稿を予定していた論文を今年度投稿し、可能な限り国際会議での発表を行う予定である。
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