研究課題
高温磁化プラズマにおける複雑性を決める素過程の理解を目指し、時系列データの複雑性解析を行った。時系列データの統計性を調べる上で、如何にある特定の物理過程を反映した信号を得るかが実験では非常に重要となる。本研究では、高温プラズマの大型ミラー磁場閉じ込め実験装置の特徴に着目し、波動との相互作用を受けて磁力線に沿って流れてきた高エネルギーイオン束を解析に求められる強度と時間分解能を保持した形で開放端において粒子検出した。これによりクーロン衝突が支配的なパラメータでは見えなかった波動との相互作用を反映したイオンダイナミクスの複雑性を調べることに世界で初めて成功した。イオンサイクロトロン周波数帯のアルベン波(AIC波動)が励起された際に高エネルギーイオン束のJensen-Shannon複雑性が顕著に上昇する一方で、静電プローブで測定したイオン飽和電流の複雑性はほとんど変化しなかった。本解析がイオンの波動による散乱過程に対して感度があることを示すと共に、ミラー捕捉された高エネルギーイオンのダイナミクスが波動との相互作用に支配されていることを示唆する結果である。またクーロン衝突が支配的なバルクプラズマの密度揺動についてマイクロ波反射計で調べた結果、内側の高温領域ほど複雑性が低下し、順列エントロピーが増大することが明らかになった。
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Plasma and Fusion Research
巻: 16 ページ: 2402045
10.1585/pfr.16.2402045