研究課題/領域番号 |
18K03578
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小菅 佑輔 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (00700296)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乱流プラズマ / 流れ構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、磁化不均一プラズマ乱流が生み出す種々の構造について、その励起機構を理解し、選択則を得ることを目的としている。 今年度の研究では、プラズマと中性ガスが共存する場合の研究を推進した。磁化プラズマではしばしば乱流が準2次元的性質を有するが、この性質が中性ガスが存在する場合でも成立することがわかった。プラズマと中性ガスが2次元的乱流として振る舞う場合の緩和過程について解析を進め、最終的に生じる非線形構造に関する考察を深めた。周方向の対称性が破れた渦や、周方向に対象ではあるが径方向に不均一性を有する帯状流などの構造が形成されることを明らからにした。特に、この帯状流の空間構造について、中性ガスの圧力勾配に応じて変化することがわかり、シアや曲率などを中性ガスという自由度から制御できる可能性を見出すことができた。 同様の解析を、磁場方向流れ場を伴う系へと拡張する方法について考察を進めた。磁場方向の流れ場が存在する場合にも、エネルギーや流れヘリシティといった物理量に基づき緩和過程を定式化する研究に着手した。磁場方向に電子が拡散する時間スケールと乱流が持つ特徴的な時間スケールの比較から、乱流の性質を分類していくという方針を得ることができた。 得られた成果について、遠隔で開催された会議(日本物理学会やプラズマ核融合学会など)にて報告した。国際的学術誌Plasma Phys. Control. Fusion等にて論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体計画では、プラズマ乱流の生み出す種々の構造についてその励起機構を理解し、励起された構造を考慮した輸送像の構築や様々な問題への応用を目指している。今年度の研究において、周辺プラズマへの応用を念頭に置いた研究を進め、主要な成分である中性粒子の効果について検討を進めた。中性ガスとプラズマが共存するような場合での流れ構造形成機構についての研究を進め、中性ガス自由度がプラズマにおけるパターン形成を制御するパラメータとして有効であることがわかった。これを受け、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ中に励起される構造について、選択的減衰という観点から理解を深めることができた。同様の手法を様々なパラメータ領域のプラズマ乱流へと適用し、統一的な観点からプラズマ中の構造の励起について理解を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では得られた成果についてInternational Congress on Plasma Physics 2020 (Korea)などの国際学会にて報告する予定であった。その中で、コロナが流行し、参加する予定であった会議の現地開催が見送られ、オンラインでの開催や次年度以降へと延期された。そのため、当初計画していた旅費の一部をオンライン会議に参加するための環境整備や参加費として使用した。その差額が生じた。来年度以降は、当初参加を予定していたが翌年へと延期となった会議等への参加費として使用する予定をしている。また、コロナの感染状況等を鑑みた上で、オンラインミーティングと併用して、自粛していた研究打ち合わせを進める予定である。国内の共同研究者との打ち合わせを中心に進めていく予定である。
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