本研究では、磁化不均一プラズマ乱流が生み出す種々の構造について、その励起機構を理解し、選択則を得ることを目的としている。 今年度の研究では、非線形構造の一例として階段状分布の形成について解析を進めた。代表者が進めた先行研究において、磁化プラズマにおいて階段状の温度分布が熱雪崩現象の渋滞から生じることを指摘した。これらのモデルでは、階段状分布の形成を温度の時間発展と熱フラックスの時間発展を含む非線形連立偏微分方程式となる。階段状分布の非線形発展を調べるために、数値コードの開発を行い、解析を進めた。まず、単一の熱パルスが伝搬する過程の解析を進め、この熱パルスが渋滞する場合とそうでない場合の条件をパルスの変動サイズと背景熱伝導度をパラメータとして分類し、解析的に求められている渋滞条件と矛盾しない結果を得ることができた。渋滞の結果熱パルスは成長するが、その成長の抑制に対して温度分布の曲率が効果的であることを数値的に見出した。次に、プラズマの中心付近から熱を注入し続けた場合の解析を進めた。この場合、温度界面がプラズマ中を伝搬し、その中から複数の渋滞が生じることで温度分布が階段状に変化していくことが明らかとなった。階段の幅として典型的なスケールが選択されるが、このスケールが渋滞のもつ特徴的なスケールで記述されることが確認された。 得られた成果を論文にまとめ Phys. Plasmas (2021) にて出版している。
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